ポール・ウインター/カルロス・リラ「ザ・サウンド・オブ・イパネマ」(ASIN:B00005J4MU)

リラ

このアルバムを初めて聴いたのはもう10年以上前になるでしょうか。小西康陽が企画したリイシュー・シリーズ「未来の音楽」の一枚として復刻されたときです。何に驚いたかといって、それまで「なにやら鯨とかと一緒にやってる変な奴」としか思っていなかったポール・ウインターが、繊細でやわらかいサックスで見事にカルロス・リラをサポートしているんです。目や耳から鱗がぽろぽろ落ちました。主役はあくまでカルロス・リラの方で、その上品なメロディと響きに彩られた楽曲と、甘いヴォーカルが素晴らしいのですが、ポール・ウインターのサックスはでしゃばることなく、サウンドに艶を与えてます。この点が自分が吹き出すときは己が主人公にならないと気がすまない、「ゲッツ/ジルベルト」のスタン・ゲッツとは違うところ。ゲッツはもちろん優れたプレイヤーですが、歌伴としてはポールの方に軍配があがるかな。