UMEKICHI「蔵出し名曲集〜リローデッド〜」(ASIN:B000197LQG)

うめ吉

※写真は前作「蔵出し名曲集」のものです。


これは痛快。冒頭、チントンシャンとお囃子っぽい音が聴こえてきたかと思いきや、一転、分厚いホーンと共に「♪Ah,apricot plam cakes and candy・・・ 」とUMEKICHIが唄い出し、ごきげんなブラス・サウンドに載せて「家へおいでよ」が始まります。休むまもなく「三味線ブギ」「買物ブギ」と、ビッグ・バンドのサウンドにロカビリーっぽいビートで畳み掛ける服部良一ナンバー連発!UMEKICHIのヴォーカルはやや線が細いのですが、派手なサウンドの中にあって小唄の風情を感じさせて、個人的には好みです。
UMEKICHIこと、うめ吉は年間500本もの高座をこなすという「俗曲師」。着物姿に三味線持って、端唄、都都逸、古い流行歌をレパートリーに活躍しています。過去に何枚かアルバムも出しており、私は多分デビュー・アルバムである「お国めぐり」を持ってます。そこでは各地の民謡をお囃子をバックに歌っていました。
彼女は戦前の流行歌の熱心なコレクターでもあるそうです。その嗜好が全開となったのが本作といえるでしょう。今後、俗曲師としては「うめ吉」、エンターテイナーとしては「UMEKICHI」として活動していくそうです。バックの演奏は「稲妻オーケストラ」となっていますが、ふくよかでゴージャス、かつパワフルな響きをこれでもかと聴かせてくれます。仕掛け人は誰かと思ったら、プロデューサーの新田一郎は元スペクトラムの人だったんですね〜。納得です。
アルバムの内容に戻ると、強いビートでひたすら押しまくる「真赤な太陽」、デューク・エリントンA列車で行こう」のフレーズが流用される「びっくりしゃっくりブギ」といった迫力ある曲に混じって、リラックスした雰囲気の「パイのパイのパイ」「東京ドドンパ娘」「五匹の仔豚とチャールストン」が、いい位置に収まっています。そして最後は「ヘイ・ヘイ・ブギ」「ホームラン・ブギ」と再び服部良一ナンバーの連発で締め。聴き終わった後に残るのは、スポーツで汗を流した後のような爽快感。ビッグバンドのサウンドが好きな人はぜひどうぞ。
公式サイトでは「家へようこそ」のPVも見ることができます。時代劇ミュージカル調の楽しい出来栄えになってますので、こちらもお勧めです。


公式HPは下の通り。

http://www.daipro-x.co.jp/umekichi/index.html