ダリウス・ミヨー「スカラムーシュ」(ASIN:B00005NPJH)

スカラムーシュ

ミュージック・マガジン3月号はジャズ特集を組んでいたのですが、そのなかで目を引いたのは今村健一氏がミヨー「ブラジルの郷愁」を取り上げていたことでした。ダリウス・ミヨーはフランス6人組のひとり・・・という紹介がどのくらい通じるのかよく分かりませんが、要は20世紀前半にフランスで活躍した作曲家です。かなり多作の人なのですが、無調の影響を受けた初期はともかく、概してフランスらしいエスプリのある作風の人。2つの全く異なるキーを重ねたりする複調が得意技です。ジャズにも影響を受けたりしてるのですが、もうひとつ重要なポイントとして、フランス大使クローデルの秘書としてのブラジル滞在経験があります。先に挙げた「ブラジルの郷愁」もそうですが、今回とりあげた「スカラムーシュ」もミヨ−流のブラジル音楽解釈が反映した曲で比較的広く親しまれています。ピアノ2台による、3つの小曲からなる組曲なのですが、終曲の題名が「ブラジレイラ(サンバの動きで)」なんですよ。もちろんミヨー自身の音楽として表現されているので、もろにサンバ風とはいかないのですが、快活な楽しい曲です。こういった曲を聴くともっと知られてもいい人のような気がするんですけどねえ。ポップ方面でミヨーを高く評価した人って、パシフィック231*1蓮実重臣くらいしか思い当たりません。決して難解ではなく、ちょっとした耳の驚きをもたらしてくれる作曲家ですよ。今回取り上げたアルバムには他にも「プロヴァンス組曲」などが入っていて、聴き応えありです。ベロフが弾いている曲もあります。

*1:このユニット名の由来はミヨーと同じく6人組のひとりだったオネゲルの代表曲