ムーディー・ブルース「童夢」(ASIN:B000056FBY)

オーケストラを導入したことでプログレッシヴ・ロックに分類されることが多いバンドですが、彼等の真骨頂はポップなメロディとコーラス・ワークにあります。このアルバムもしかり。冒頭の「プロセッション」こそ、ちょっと実験的なつくりになっていますが、そこから切れ目無く続く「ストーリー・イン・ユア・アイズ」は超ポップな名曲。シングル・ヒットしたのも納得です。3曲目「ゲッシング・ゲーム」はおおらかなメロディーを持ち、4曲目「エミリーの歌」はポール・マッカートニーライクなポップ・ソングと、メンバーそれぞれが個性を発揮した曲がならんでいる充実したアルバムなのです。
後半もカントリー・タッチな佳曲「ナイス・トゥ・ビー・ヒア」などがあり、最後まで飽きさせません。イギリスのみならずアメリカでも大ヒットしたのも当然でしょう。これでメンバーの演奏がもっと上手かったら・・・と思わせる部分もあるのですが、かえってそれが親しみやすさとなっているともいえます。ファンタジックなジャケットも魅力的で、ソフト・ロック・ファンも手元に置いておきたい一枚。