ブロッサム・ディアリー「ブロッサムズ・プラネット」(ASIN:B000075AYV)

ブロッサムズ・プラネット


クイーン・オブ・ウイスパー・ヴォイス。1926年生まれというから、今年で78歳。このアルバムを録音したときは76歳。さすがにジャケットの写真はおばあちゃん(でも可愛い!)だけど、声が全然昔と変わっていないのに驚かされます。さらにライナーノートではこの作品を「新しい世紀に向けた私のプロジェクトの第一作になります」とまだまだ前向きな姿勢を示すのですから、天晴れというしかありません。
その新しいプロジェクトとはブラジル音楽へのアプローチのこと。もちろんこれまでにも「ワン・ノート・サンバ」などの有名曲を歌ったことはあるのですが、改めて追求していこうということで、イヴァン・リンスアントニオ・カルロス・ジョビンの曲を取り上げております。変わったところではスティングの曲。その他にはトゥーツ・シールマンスの「ブルーゼット」や自作のナンバー。演奏はブロッサム自身のピアノを中心としたトリオと、一部の曲でセザール・カマルゴによるストリングスが加わるといったもので、品の良い洒落たサウンドに仕上がっています。さりげなくボッサを取り入れたリズム・アレンジが快適で、ブロッサムのキュートな声が一緒になればそれはもうごきげんなもんですよ。ラストの「ウェイヴ」はスロー・バラードにアレンジされており、しっとりとしたストリングスがブロッサムのヴォーカルを柔らかく包み込む素晴らしいアレンジになっています。全体として、過去の名作と比べても遜色ない出来栄えの作品になっているのは見事。いつまでも元気で歌っていて欲しい人ですね。