ジェームズ・ゴールウェイ、ジェイ・アンガー、モリー・メリソン「ソング・オブ・ホーム〜アメリカ音楽の旅」(ASIN:B00006GJ9I)

ソング・オブ・ホーム


ジャケットから想像できる通りの音がスピーカーから流れてきて、すっかりいい気分になりました。世界的なフルート奏者であるジェームズ・ゴールウェイが、アメリカン・ミュージックを奏でる作品です。ゴールウェイはかつてベルリン・フィルの首席フルート奏者を務めていた人。1975年以降は独立して活発な活動を行っています。彼と共演しているのは、フィドルのジェイ・アンガー、ギターやピアノ、ヴォーカルも披露するモリー・メリソン。二人ともアメリカン・フォーク・シーンで長年活動してきたそうですが、私はあまりこの辺に詳しくないのでこのアルバムが初体験でした。
クラシックのプレイヤーがアメリカン・ルーツ・ミュージックを演奏した例といえば、ヨー・ヨー・マがエドガー・メイヤー、マーク・オコーナーとのトリオで発表した「アパラチア・ワルツ」を思い出します。これもいい出来でしたが、ゴールウェイも同じくらい素敵な音楽を届けてくれました。フルートとフィドル、ギターが伸びやかに絡み、19世紀の民謡からオリジナル曲まで含む幅広い曲調が、テキサスからカリフォルニア、中部アメリカに及ぶテーマを舞台にした音の風景を描いてくれます。本当に心地よいアンサンブルをリラックスして楽しめます。4、10で聴けるメイスンのヴォーカル・ナンバーもいいですよ。ラストでは「アメイジング・グレイス」がしっとりと奏でられます。この選曲は、あの9.11のわずか2日後にこのプロジェクトのレコーディング・セッションが始まったことと決して無縁ではないでしょう。ゴールウェイの暖かい音色がしみじみと胸をうちます。