スティーヴィー・ワンダー「シークレット・ライフ」(ASIN:B00005FMX2)

シークレット・ライフ

地味な学術映画のサントラ、LP2枚組、およそ半分はインストゥルメンタルという条件が災いして、当時はあまりセールスの伸びなかった作品。この前が「キー・オブ・ライフ」。この次が「ホッター・ザン・ジュライ」という怒涛のポップ・アルバムに挟まれているため、今もあまり人気があるとはいえないようです。最近の過去作品リマスターでも省かれているようだし・・・。
でも私にとってスティーヴィー・ワンダーの最高傑作がこれなのです。植物の生育を描いた映画への音楽というせいもあって、スティーヴィーが自然へ抱いているイメージ、感受性がアルバム全体に横溢しています。シンセサイザーを駆使して作られたインストゥルメンタルも、架空の民俗音楽的な響きの曲も、「愛を贈れば」のような繊細な美しさを持つポップ・ソングも手触りはどれも同じ。聴き込むほどにその良さが伝わってくるという点では、スティーヴィーの数ある作品でも一、二を争うといえるでしょう。もうすぐ久しぶりの新作が発表されるという今だからこそ、再評価され、多くの人に聴いてもらいたい作品。