糸井重里ほか「智慧の実を食べよう 300歳で300分」(ASIN:B0000V4P1Y)

9月13日に東京国際フォーラムで行われた講演会を完全収録したもの。講演者は 詫摩武俊吉本隆明藤田元司小野田寛郎谷川俊太郎の5人。講演の内容は単行本にもまとめられているのですが、やはり語り手の表情、醸し出す雰囲気というものが話の内容以上に大きな要素を占めていることが実感できます。5時間以上の長丁場ですが、結局休みなしにずっと見続けていました。
普通に分かりやすく、興味深い逸話がどんどん出てきて楽しめたのは、糸井重里との対談の形をとった藤田元司。こちらが想像すらできない特異な自身の体験を、終始笑顔を絶やすことなく、穏やかに語る姿が印象的だったのは小野田寛郎。正直、話の内容はありきたりだったんだけど、品の良さに惹かれてずっと聞いてしまった詫摩武俊。朗読に歌とエンターテインメントの要素も濃かった谷川俊太郎とそれぞれ見所は多かったのですが、このDVDで忘れがたい印象を残すのは、吉本隆明です。とりあえずメモは用意してきたようなのですが、しょっちゅうつっかえる。同じことを何度も繰り返す。発音もあまり明瞭でないとまあネガティヴな要素満載で、横で年賀状を書きながら聞いていた父も「こいつは話をまとめるのが下手だなあ」と呆れる始末。ところが、彼のたたずまいには不思議な存在感があって、なぜか耳を傾けてしっかり聞きたいという気持ちにさせられるのですね。別段吉本信者でもなんでもない私ですらこうだったのですから、実際に会場で聞いていた人達は、もっと彼の存在感を強く感じていたはず。その証拠にこの講演会のトリを務めた谷川俊太郎も、「居方」という言葉で今日の吉本のことを語っておりました。ダライ・ラマは何よりもそこに居るという「居方」が素晴らしい方だったと話した後で「なにもこれはダライ・ラマに限ったことではなくて・・・今日の吉本さんがそうでしたね。今日の吉本さんの話、文章にまとめたら見開き一頁で終わってしまいますよ。何回も同じことばかり言っていてね。でも吉本さんがそこに居るということがいいんですよね」(記憶に頼って書いているので、実際とはかなり違うと思います。こんな感じだったということで)。とにかくこれは一度機会があればご覧になってみてください。


夜は紅白。結局格闘技はどれも見ませんでした。
で、その紅白ですが、個人的なMVPは布施明。やってくれましたよ「君は薔薇より美しい」。いつ聴いてもいい曲だ!あやや布施明という流れは今回の紅白が最も華やいだところだと思います。ごっちんの「オリビア」はイントロが「LOVEマシーン」だったり衣裳を早替わりしたりと、そこそこ健闘。しかしあの曲であの衣裳ですか。目立たない時間帯での登場だったけど、安室のクールなパフォーマンスは個人的に評価高いです。伊藤多喜雄のバックに村上"ポンタ"秀一が!和田アキ子が「古い日記」を新しいヴァージョンで歌ったのも良かった!彼女は変に大御所的位置にいるより、ずっと「ゴッドねえちゃん」でいて欲しいですね。小林幸子と美川は、もう衣裳のことで競わなくていいから新しい曲をレパートリーして増やすことを考えて欲しい。ゆずはあそこからの中継で大正解。村上隆仕様のギターがいいなあ。反対に倉木は声量の無さが目だってしまった感が。aiko可愛い。坂本冬美復活おめでとう。石川さゆり貫禄。森進一や北島大御所の後に出ることになってしまった氷川きよし。歌いだしは明らかに緊張しているのがわかってどうなることかと思ったけど、後半持ち直して一安心。紅組トリの天童よしみは気合入ってたなあ。この人がこんなに気合いれて歌っているのを初めて聞きました。その天童とは歌唱力では月とスッポンなのに、ステージ上の佇まいでは全くひけをとらないSMAP。やはり華があるし貫禄すら感じられましたね。と、なんだかんだいって最後までしっかり楽しんだのであります。歌いだしちゃうんじゃないかと心配してた松井パパが歌わなかったのもポイント高いです。


1月1日
午前中はまったり。音楽聴き初めはグルダ平均律でした。午後はお年賀など。夜はカネッティの「マラケシュの声」を読んで過ごす。これが今年の読書初めでした。


1月2日
午前中は駅伝を見る。午後、鎌倉の鶴岡八幡宮へ初詣。混雑にへとへと。帰宅して鎌倉を愛した詩人、田村隆一の全詩集をぱらぱらとめくる。


1月3日
午前中は駅伝。午後は渋谷へ映画を見に行く。