矢野顕子「オーエスオーエス」(ASIN:B00005FDZ0)

オーエスオーエス

セレクト合戦のネタ探しをしようと思っていたら、一日中頭痛に悩まされ、なにもできない休日でした。そんなときでも何か聴かずにはいられない。このアルバムを鎮痛剤代わりに服用していました(最近頭痛薬に頼り気味だったので、今日はできるだけ飲まないようにと思ったのです。朝に一回飲んだけど)。この時期の作品にしてはエキセントリックなところが目立たず、すっきりしたサウンドのピースフルなアルバムになっております。
はじめて聴いたときは「ラーメンたべたい」にどうしても関心が偏りがちでした。もちろん今聴いても魅力的な曲で、エンディングのコーラスが坂本龍一ピーター・バラカン鈴木慶一という不思議な人選ですが、ちょっと情けない感じの歌声が上手くはまってます。やっぱり男もツライんですよ(笑)。後年、「Beautiful Songs」のライブで奥田民夫がギター一本で熱唱した姿も忘れられません。
今聴いてうれしいのはランディ・ニューマン細野晴臣のカヴァーの存在ですが、それらと「おもちゃのチャチャチャ」のカヴァーが平然と同列に扱われていることがアッコちゃんらしく、ジャンルにとらわれない心をこうしたところから無意識にとはいえ、若いうちに学べたことは幸運だったと思います。井坂洋子の現代詩に曲をつけていたりと、当時は気づかず、後から知るたびにえっと思ったことが多いアルバムでありました。
アルバムのハイライトはもちろん、終盤の「グリーンフィールズ」。山下達郎のコーラスも彩りを添える、壮大なスケールのナンバーで、歌が進むにつれ描かれた情景がどんどん眼前に広がっていくような気分になるのが圧巻。そしてアルバムのラストを締めるインスト・ナンバー「アセンブリー」が、前の曲で高揚した心を心地よくクールダウンさせてくれる、ほのぼのとしたメロディが楽しいマーチ。とりあえず聴いている間は頭痛を少し忘れていることができました。