モダン・ジャズ・カルテット「ジャンゴ」(ASIN:B00000IHAZ)

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ジャズ・ファンには改めて解説の必要のない大有名盤ですが、久々に聴きなおしてみて、改めて名曲ぞろいのアルバムと感心した次第です。やはりタイトル・ナンバーが名曲中の名曲。ゆったりとした、哀しみをたたえたテーマからミルト・ジャクソンのヴァイブ・ソロが始まる瞬間の素晴らしさ、続くフレーズの抑制された美しさと構成の巧みさには感心するばかり。続くジョン・ルイスのソロも作曲者だけあってツボを押さえた好演です。ジャズミュージシャンは同じ曲を再演するたびにテンポ・アップする傾向があって、この曲もその例にもれません。インプロヴィゼーションをスリリングにしておきたいがためだと思われますが、この曲についていえば、断然この初演がベストです。


ジョン・ルイスのメロディ・メーカーぶりがこのアルバムでは特に冴え渡っていて「クイーンズ・ファンシー」や「デローネイのジレンマ」、いずれもポップなメロディが楽しめる佳品。そしてそのメロディの美しさをしっかり表現し、滑らかなソロにつなげていくミルト・ジャクソンヴィブラフォンの見事さについてはいわずもがなでしょう。スタンダード・ナンバーを2曲挟んだ後の終曲「ミラノ」もまたしっとりとしたバラードですが、これもセンチメンタルになることなく、じっくり聴かせてくれます。