ジョン・レノン「マインド・ゲームズ」(ASIN:B00006JLH6)

マインド・ゲームズ


一番衝撃を受けたのは「ジョンの魂」。最高傑作と思うのは「イマジン」。最も好きなのは「心の壁、愛の橋」。一曲といわれたら「ウーマン」。そんな私にとってこのアルバムは長年聴きどころがわからず、退屈な作品でした。タイトル・ナンバー「マインド・ゲームズ」は名曲と思ったけれど、その他の曲は生ぬるい感じがしてそのまま放置状態でした。
昨年のリマスター盤で久々に耳にしたこのアルバムは、細部が明瞭になったことで各曲の表情が以前より見えてくるようになっていました。その結果、かつて生ぬるさとして映っていたものも、穏やかさとして肯定的に受け入れることもできるようになったのです。そしてなんだかんだいってもジョンの声の磁力は、どんなときでも変わっていなかったということをようやく認識できるようになりました。
今でもこれが傑作とは思いません。けれども普通のポップ・アルバムとしてジョン・レノンのアルバムを聴きたい時、これに手を伸ばすようになりました。「インテューイション」の軽やかさの中に見える孤独の表情が今では自然に心にしみこんでいきます。