ミシェル・ンデゲオチェロ「コンフォート・ウーマン」(ASIN:B0000D8RKV)

ンデゲオチェロ


カサンドラ・ウィルソンと並ぶ現代の「プリンセス・オブ・ダークネス」、ミシェル・ンデゲオチェロの最新作。全10曲39分という収録時間は、今ならミニ・アルバムと呼ばれてもおかしくないサイズだけど、とても「ミニ」なんて似合わない、スケールの大きく豊かな音楽がここには詰め込まれています。


一聴して耳をひくのが、ダブ、レゲエの大幅な導入。深いエコーと彼女自身による太いベース・ラインによるトポグラフィックな音像が彼女のアルト・ヴォイスの魅力を引き立てています。ギターが要所要所で鋭いプレイを聴かせ、音楽に適度な棘を加えているのも聴き逃せないところ。前作で集大成されたヒップホップ、ファンク、ジャジーなグルーヴからは一旦距離を置いて、シンプルな編成からこれだけコクのある作品をつくりあげた懐の深さに圧倒されます。どんなスタイルであっても、彼女の生み出す音楽は常に凛として気高く、美しい。