マルタ・アルゲリッチ「アルゲリッチ・コンセルトヘボウ・ライヴ1978&1979」(ASIN:B00005GK0M)

アルゲリッチ


このアルバムが出たころは、アルゲリッチは連弾やクレーメルとのデュオでの活動が中心だったので、ソロ演奏を集めたこの盤が出たときはうれしかったものです。収録された曲が多彩でバッハから始まり、ショパンバルトーク、ヒナステラ*1プロコフィエフ。アンコールとしてスカルラッティと再びバッハで終わります。


まず最初のバッハ、パルティータ第2番はさすがに抑え目ですが、序盤のシンフォニアからアルマンド、終盤のロンドからカプリッチョへノンストップで続いていく瞬間にゾクゾクさせられます。ショパンの2曲から少しづつ奔放さが現れてきて、バルトークソナタへ。ここでアルゲリッチが繰り出すリズム・パターンには思わず体が動きます。グルーヴィー!ヒナステラ「アルゼンチン舞曲集」も快調。ここでも終曲「やくざなガウチョの踊り」が軽快なノリ。そしてプロコフィエフ「戦争ソナタ」。山あり谷ありの曲想を躍動感たっぷりに弾ききる、鮮やかな演奏です。そして興奮を鎮めるかのように、アルバムはスカルラッティとバッハで幕を閉じます。ダイナミックな面を中心にして書いてきましたが、決して大味な表現ではないので何度も繰り返し聴くに足ります。ポップ・ミュージックのファンでも楽しめるアルバムなのではないでしょうか。体で楽しめますよ。


それにしても今のEMIは彼女のアルバムまでCCCDで出しています。怒りを通り越して呆れますね。

*1:プログレファンはELPが彼の作品を「恐怖の頭脳改革」でカヴァーしてるので、名前に聴き覚えがあると思います