ジェネシス「トリック・オブ・ザ・テイル」

74年にピーター・ガブリエルが脱退して、78年「そして3人が残った」で世界的なヒットをとばすポップ・バンドとしてブレイクするまでの、「谷間」ともよべる時期に発表された名作です。フィル・コリンズが本格的にリード・ヴォーカルをとった最初のアルバムでもあります。メンバー4人のしっかりしたアンサンブルが心地よく、「ダンス・オン・ア・ヴォルケーノ」のような、変拍子炸裂のダイナミックな曲から抒情的な「リップルズ・・・」まで、隙がありません。スティーヴ・ハケットとトニー・バンクスの繊細なプレイと、フィル・コリンズの力強いドラムが違和感なくひとつのバンドの演奏としてまとめあげられているのです。全8曲の中にジェネシスの本質が詰まっています。英国的な感触がたまりませんね。ジェネシス初心者にも勧めたい一枚。