今回のセレクトのお題「コーラス&ハーモニー」は、1曲目がビートルズ関係の曲というルールがありました。そこからどう展開していくか。私の場合はポップという器の中にできるだけいろんな要素を詰め込んでみようとした選曲でしたが、さて出来栄えはいかに?

1)スウィングル・シンガーズ「バースデイ」(2000)

チケット・トゥ・ライド

チケット・トゥ・ライド

  • アーティスト: スウィングル・シンガーズ,レノン&マッカートニー
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2000/12/06
  • メディア: CD
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大ベテランのコーラス・グループによるビートルズ・カヴァー・アルバム「チケット・トゥ・ライド」から。ビートルズのアカペラ・コーラスといえば既にシンガーズ・アンリミテッドやキングス・シンガーズなどもアルバムを残している中、後発の彼らは選曲と音の加工も辞さないアレンジで勝負してきました。とはいえ、比較的まともなアレンジの曲の方が多いのですが、スパイス的な役割を果たしている数曲が抜群に面白い。これもその中のひとうつです。

2)ザ・グッバイ「The Void」(1986)

FIFTH DIMENSION

FIFTH DIMENSION

ザ・グッバイサイケデリック・ポップに挑んだアルバム「FIFITH DIMENSION」収録曲で、アルバムの方向性を決定づけた曲だそうです。「シー・セッド・シー・セッド」をジョージがやってみました的曲調が面白い。ザ・グッバイは他にもコーラス・ワークが冴える曲が目白押しですよ!

3)ドゥーピーズ「マジック・ジャーニーズ」(2001)

トウキョウ・ディズニー・エイジ?Dー100 cafe Album

トウキョウ・ディズニー・エイジ?Dー100 cafe Album

ユニークなディズニーのカヴァー・アルバム「Disney Age @ D_100 Cafe」の冒頭を飾った、ヤン富田によるプロジェクト、ドゥーピーズの名演。キャロライン・ノヴァクのヴォーカルが入ってくる瞬間はスピリチュアルですらあります。アコースティックなアレンジのようでいて、終盤電子音だらけになるのがヤン富田ならでは。なお、ドゥーピーズについては、ショック太郎さんが詳しく書かれていますよ。

4)ゲイリー・マクファーランド&ピーター・スミス「サルヴェイション・アーミー・ラグ 」(1971)

バタースコッチ・ラム

バタースコッチ・ラム

ゲイリー・マクファーランド自ら歌っている珍しいソフト・ロック路線のアルバム。何気ないようで凝ったアレンジが聴かせます。

5)イーダ「ショットガン」(2000)

Will You Find Me

Will You Find Me

静かだけれど、エモーショナルな音楽を奏でるニューヨークのグループ、イーダ。どのアルバムも好きだけれど、最初に聴いた「Will You Find me?」にやはり思い入れがあります。その中から特に好きな曲を選びました。

6)TLC「シリー・ホー」(1999)

FAN MAIL

FAN MAIL

大好きでした、TLC。ひとつのメロディを延々繰り返しているだけなのに、リズムの面白さと「フェッ、フェッ」というヘンテコなコーラスで飽きさせません。初めて聴いたときは呆気にとられたけど、段々中毒になりました。

7)芸能山城組「金田」(1994)

Symphonic Suite AKIRA

Symphonic Suite AKIRA


大友克洋の映画「AKIRA」のためにつくられた音楽です。冒頭の雷鳴音から、ハーレー・ダヴィットソンのエンジン音が鳴り響き、ジェゴクによるビートに男声合唱が加わる展開になるパワフルな曲。中盤の「ラッセラー」はもちろん、ねぶた祭りですね。
ここからワールド・ミュージックが続きます。

8)スティーライ・スパン「アップス・アンド・ダウンズ」(1973)

パーセル・オブ・ロウグズ(紙)

パーセル・オブ・ロウグズ(紙)

英国トラッド・ロック名門グループの5thアルバムから。中心人物だったアシュレー・ハッチングスとマーティン・カーシーが脱退して苦しい時期だったのですが、チャート的にはもっとも成功していた頃でありました。どうしても初期3枚が高く評価されるのですが、このおおらかな楽しさも捨てがたいところです。

9)サリイ・ニョロ「マンテリィ」(1997)

Tribu

Tribu

サリィ・ニョロはカメルーン出身。ザップ・ママに在籍していたこともあります。このアルバムは本人のヴォーカルの多重録音でつくりあげた作品。言葉の響きとリズムがとても面白い。

10)上野洋子「ナンバー・プレイス」(2002)

PUZZLE

PUZZLE

ザバダックの歌姫の2ndアルバムより。これもまたヴォーカルの多重録音でケルトブルガリアなど様々な試みをしているアルバム。中でもこの曲は音名を歌詞(?)にしている不思議な作品。

11)太陽とシスコムーン「マジック・オブ・ラヴ」(1999)

Magic of Love

Magic of Love

ここでポップスへ帰還。これはつんく絶頂期を代表する名曲のひとつ。太シス、いいグループでした。派手なつくりがこのセレクトのクライマックスにいいかな、と思って選んだ曲です。

12)ロキシー・ミュージックビターズ・エンド」(1972)

ROXY MUSIC-REMASTERED

ROXY MUSIC-REMASTERED

ロキシー、衝撃の1stを締めくくる小品。当時の彼らの音楽はアヴァンギャルドのようでいて、実はR&Bのテイストが底に流れているのがミソ。ただし、フェリーのヴォーカルやポール・トンプソンの元祖ハンマー・ビートと呼びたいタテノリのドラム、イーノの電子音などが合わさると、ルーツと全然感触が違うノリの音楽が出来上がってしまったわけですね。この曲もとりあえずドゥ・ワップですけど、懐かしいようでどこか近未来的。