前口上

11回目を迎えたセレクト合戦ですが、今回のお題「カレンダー・セレクト」はいざやってみるとなかなか難しくて悩まされました。試案の段階では本気で武満徹「ノヴェンバー・ステップス」を入れようか、なんて思っていましたよ。結局できあがったのは比較的ポップな曲が並ぶ和洋折衷のセレクトとなりました。気軽に楽しんでいただければ幸いです。

1月 Swing Slow / 「yuki-ya-konko」(1996)

SWING SLOW
細野晴臣コシミハルによるラウンジ・ポップ・ユニットによる唯一のアルバムからの選曲です。もちろんあの童謡のカヴァー。オルガンが結構きかせます。アンビエントの海を泳いでいた細野がポップに戻るきっかけとなった作品。

2月 Halcali / 「フワフワ・ブランニュー」(2004)

音樂ノススメ
好きです、ハルカリ。昨年出た2ndアルバム「音楽のススメ」収録のとびきりポップなエレクトリック・ファンク。kobbanovaさんもHPでお勧めしていました。ジョー・ストラマーの名前も飛び出す歌詞はかせきさいだぁが手がけたものです。え、今年初めてのデートが2月じゃ遅いって?

3月 Flex Life / 「君住む街」(2004)

♪今すぐ行くよ、君住む街まで。雪解けぬかるみ飛び越えて・・・弾む気持ちをレゲエ・ビートに託してみせた、フレックス・ライフのアルバム「Japonica」からの曲です。一応前曲とはレゲエ・ビートつながりということで。ホーンがあたたかくていいですねえ。

4月 Greg Davis / 「At My Window」(2004)

Curling Pond Woods
アルバム「Curiling Wood Ponds」から。いわずもがな、ビーチ・ボ−イズのカヴァーですね。グレッグ・デイヴィスはエレクトロニカ系の人で、その音楽は「ラップトップ・フォーク」なんて呼ばれています。全体的に春の雨の朝を連想したのでここにいれました。

5月 Swan Dive / 「Automatically Sunshine」(2004)

ウィリアム・アンド・マーリス
とてもいい曲を書くのに、いまひとつ知名度が低いような気がするスワン・ダイヴ。昨年出た新作「ウイリアム&マーリス」もとてもいいアルバムだったのですが。この曲はアルバムの中でもとびきりポップ。ちょっとコーラスに渋谷系入ってますね。初夏の明るい日差しを連想してくれればうれしいです。

6月 The Beatniks / 「Rainy Day#66&828」(2001)

M.R.I.
6月といえば雨、ですが雨を扱った曲は名曲めじろおし。その中からビートニクスの目下のところ最新作「M.R.I」からの曲を選びました。歌詞は鈴木慶一。アルバム発売当時、イントロのオルガンのところを「雨でオルガンといえばラスカルズ」と語っていましたが、ラスカルズとはとくに似てないですね。#66&828というのは慶一、幸宏二人の誕生日をつなげたもの。

7月 Instant Citron / 「Adventure Monsters」(1997)

かわいい音楽をつくらせれば右に出るものはないインスタント・シトロンが放った名曲!彼らの公式サイトにも「エヴァーグリーンなビーチボーイズ・チルドレンの日本版名曲として渋谷を中心に高い評価を得る」と記載されているくらいです。

8月 Lester Bowie / 「Ghosts」(1994)

All the Magic
アート・アンサンブル・オブ・シカゴでの活躍で知られた名トランペッター、レスター・ボーイのソロ名義のアルバム「オール・ザ・マジック!」収録。アルバート・アイラーの代表曲をカリプソ仕立てでアレンジしてしまった力技のカヴァーです。

9月 Off Course / 「I Love You (Single ver.)」(1981)

ほとんどの方がリアルタイムで聴いていると思うのですが、若い方がどんな印象をもたれるか興味があります。改めて聴いてみると、細部まで丹念につくられた隙のない仕上がりですね。アルバム・ヴァージョンは間奏にジョン・レノンの死亡ニュースが流れることで有名ですが、私は最後に子供たちのコーラスが加わるこのシングル・ヴァージョンを取ります。これによって「I Love You」の意味合いがパーソナルな告白から、普遍的なメッセージへと大きく広がるんですね。

10月 Claire Hamill / 「Crying Under The Bedslothes」(1973)

収録アルバムのタイトルが「オクトーバー」なので何の迷いもなく選びました。録音当時まだ18歳だったクレア・ハミルのやや硬い声が独特の雰囲気をつくっています。

11月 Water into Wine Band / 「Stranger in The World」(1974)

Hill Climbing for...
秋は英国ものばかりになってしまいました。この水割りワインバンドもブリティッシュ。英国の秋を思わせる枯葉系フォーク。ヴァイオリンのたおやかな響きとハーモニーに心奪われます。1stアルバム「Hill Climbing For Beginners」の冒頭を飾る一曲。ジャケットも秋の空気をたっぷりと感じさせますね。2ndアルバムのタイトルが「ハーヴェスト・タイム」なのでそっちから選曲したかったところですが、持っていないので断念。

12月 Sally Oldfield / 「Mirrors」(1978)

Water Bearer
鳴り響く鈴の音でクリスマス・ソングだろうと思って選んだのですが、どうも関係なさそう・・・でも外すには忍びない程気に入っている曲なのでこれで押し切ることにしました。マイク・オールドフィールドのお姉さんが、78年になってようやく発表した1stアルバム「Water Bearer」の収録曲です。「指輪物語」をコンセプトにつくられた本作はミニマル・ミュージックとトラッドの要素が美しく結びついた名盤。この曲はサリーの美声と鈴の音が至福の境地に誘ってくれます。