エグベルト・ジスモンチ『シルセンシ』

シルセンシ(BOM24192)

シルセンシ(BOM24192)

エグベルト・ジスモンチがEMIに残した諸作のリイシューが進んでいます。この『シルセンシ』もその中の1枚で、1980年に発表されました。ECMからリリースされたアルバムでしか彼の音楽に接してこなかった私のようなリスナーにとっては、ここで聴ける陽性で生き生きとした音楽はとても新鮮に響きました。「EMIのアルバムも聴かないと彼の真の大きさはとらえられない」と以前私に語った人がいたのですが、ようやくその言葉の正しさを自分の耳で確認することができたのがうれしいですね。
ジャケットからもわかるように“サーカス”をテーマにしたゆるめのコンセプト・アルバムで、ギターやパーカッションの技巧的な高速フレーズが存分に楽しめることができます。緊密なアンサンブルの中にもどこかリラックスしたところを感じさせるのがさすがで、どんどん目の前で繰り広げられていくエグモント一座のパフォーマンスにただ心奪われるばかり。「道化師」や「綱渡り芸人」はもちろん、少女の可憐なヴォーカルも聴ける、サービスたっぷりの、プログレッシヴかつエンターテイメントな一枚です。