スタンリー・カウエル『リジェネレーション』

リジェネレーション(紙ジャケット仕様)(BOM24101)

リジェネレーション(紙ジャケット仕様)(BOM24101)

アフロ・アメリカンによる独立ジャズレーベルである、ストラタ・イーストを設立したスタンリーカウエルが『ムサ』に続いて1975年にリリースしたソロアルバムです。
狭義のジャズを超えて、広い視点から黒人音楽を追求していこうとした姿勢が鮮明に打ち出されたアルバムで、いわゆる“ジャズっぽさ”を期待すると肩透かしに思うかもしれません。なにしろいきなりシンセをバックにした、ポップなヴォーカル・ナンバーで幕を開けるのですから。
しかし、この曲は一見ポップなソウルでありながらも「Try to Find A Way」という題名に示されているように、新たな道を追い求める姿勢を宣言したものなのですね。以下、コラや親指ピアノなどを使用したアフリカ音楽色が濃い数曲をメインに、カリブ海っぽいリズムをもった曲や、ハーモニカを全面的に前に出したブルースなど、地理と時間を越えた音楽の探求をカウエルはここで行っています。それが、決して堅苦しいものになっていないことが本作の大きな魅力で、全体に流れる雰囲気はむしろリラックスしたもの。後年のワールド・ミュージックの先駆的試みともいえる、強い意志とエンターテイメント性が調和した音楽です。