Tickawinda『Rosemary Lane』

Rosemary Lane

Rosemary Lane

男女4人組のグループが1978年に自主制作で発表したアルバムです。1978年といえばパンクからニュー・ウェイヴへの転換期に当たる年。YMOやDEVOがデビューしていることから「テクノ・ポップ元年」と呼ばれることもあります。そんな中にあって、ほぼ全ての演奏がアコースティック楽器で奏でられた、こんな美しいブリティッシュ・フォークのアルバムがひっそりと生まれていたことは奇跡と呼んでもよいのではないかと思ってしまいます。それほどまでにこのアルバムは素晴らしい。
収録曲にはメンバーのオリジナル曲はなく、トラッドとバート・ヤンシュなどのカヴァーで占められています。使用している楽器はアコースティック・ギターマンドリンが中心でドラムレス。メンバー4人のコーラスを中心と据えた演奏なのですが、このコーラスが見事なもの。冒頭でトラフィックのカヴァーで有名な「ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ」をアカペラで披露しているのですが、イギリスの土のにおいを感じさせるような気取りのない美しさと洗練された感覚が絶妙にブレンドされた、澄み切っていて、かつ奥深い味わいを醸し出しているのですね。これは他の曲も同様で何度聴いても瑞々しさを失いません。今までこのブログで取り上げてなかったのが我ながら不思議に思うくらいの大名盤。