王より飛車をかわいがる日記〜棋音戦７番勝負第１局〜
あんころさんを挑戦者に迎えたボードゲームクラブ伝統のタイトル戦がスタートしました。いつもなにか趣向を凝らした作戦をたててくるあんころさん。今回の戦法は筋違い角でした。これは前にも１局経験があるのですが、そのときは私がいいところなく完敗してしまいました。なのでいつかはやってくるだろうとは思っていましたが、いきなりの採用には意表をつかれましたね。もしやられたときはじっくり受け止めてじわじわと角を圧迫して指せばいいかな、と考えていたのですが、いざ指されるとムカッときたので、反射的に全く事前に考えていなかった手を選びました・・・相筋違い角です。「お前が打つなら俺も打つ！」の気概ですね(^^;)。ただ経験が全くない形だったのでいつも以上に慎重になりました。
図１はあんころさんが３四の位置で粘っていた角を１六へ引いたところ。あんころさんとしては予定通りの引き場所だったらしいのですが、なんとなく私の方がいい感じになったかも？と漠然と思いました。私の角の方が好位置にあること、飛車先の歩が伸びていること、３四に歩を打つのを保留することで１歩を手持ちにしていることがその理由。とはいえ、それを生かす指し方ができるのか、ということについてはあまり自信はありませんでした。
しばらく進んで図２。先手から角交換をして棒銀で先攻してきた局面です。素直に棒銀で突破されるわけにもいきません。ということで私は△３六歩でゆさぶりにかかりました。うまくいけば桂を跳ねさせて、香で銀を取った後１九に角を打つ狙いでした。
仮に狙いが実現したとしても難しい形勢だと思いますが、あんころさんは金を寄って３七の地点を補強。だが、そこに隙が生じました。銀を取って３九に飛車金取りの割り打ち。これは激痛というほどの手ではないのですが、飛車を１、２筋からどかすことができたのが大きい。そのため香を成りこまれて１筋は破られましたけど、大きなダメージにはならなかったのです（もっともずっと成香が残っているのはイヤな感じでしたが・・・）。１筋をあけ渡した代わりにこちらは馬と成桂をつくる。その馬で飛車をいじめてまんまと飛車を召し取りましたが、ことはそう簡単ではありません。あんころさんも反撃に転じました。
図３。香を取れば王手飛車が見え見えです。避けても一局なのですがこちらがいい感じになっているのに弱気になるのは面白くありません。強く同飛と取り、▲７五角打には△６四飛とまわる。これで飛車と香・角の２枚換え。それなら駒得の分こちらが有利。先手の攻めはしのげるだろうと思って踏み込みました。とはいってもいざ８二に飛車を打ちおろされると、挟撃の形になったのに加えて、こちらの３筋の金銀が壁となって悪い形。油断はできません。実際、ここで先に６三金と打たれたらあっというまに負けです。そこをどうしのぐかが、本局で一番悩んだところでした。しかしこの後、先手に悪手が出ます。△５五歩と馬筋を通して６三の地点をケアしたのですが、それに対して先手が飛車を引き成りしたのが良くなかったと思います。６三がダメなら、と６二にベタッと金を打たれていたらこわかった。そこから△同金▲同飛車成の展開は自信がありません。こうなると１二の成香ががぜん輝きを放ちます。なのに飛車を縦に引いて成ったのでは完全に１手パスで手番が回った上、いきなり自陣から脅威がなくなります。こちらにとってはありがたい手でした。すかさず成桂を活用して銀を１枚剥がす。そして「馬は自陣に引け」の格言に従い、龍取りに当てながら守りを固めた図４の６三馬ではっきりと優勢を意識しました。
先手からの早い攻めがなくなったので、後はこちらのターン。飛車を打ちおろしてからはいい具合に寄せることができました。苦手な戦型を制しての１勝。これは大きいです。４連勝が早くも視野に入ってきましたよ♪
開始日時：2010/10/31 20:48:26
棋戦：自由対局室(持ち時間30分)
先手：あんころさん
後手：風来坊▲７六歩 △３四歩 ▲２二角成 △同 銀 ▲４五角 △５二金右
▲３四角 △６五角 ▲５八金右 △７六角 ▲８八銀 △５四角
▲２六歩 △８四歩 ▲７八金 △８五歩 ▲７七銀 △３二金
▲７六歩 △３三銀 ▲１六角 △１四歩 ▲３八銀 △１五歩
▲２七角 △６二銀 ▲５四角 △同 歩 ▲２五歩 △４二玉
▲６八玉 △５三銀 ▲２七銀 △４四銀右 ▲１六歩 △同 歩
▲同 銀 △３六歩 ▲４八金 △１六香 ▲同 香 △３九銀
▲３八飛 △４八銀成 ▲同 飛 △３七歩成 ▲同 桂 △１五歩
▲同 香 △２六角 ▲１二香成 △３七角成 ▲１八飛 △４七馬
▲５八銀 △３六馬 ▲１九飛 △５六桂 ▲７九玉 △４八桂成
▲６九銀 △１八金 ▲同 飛 △同 馬 ▲８四香 △同 飛
▲７五角 △６四飛 ▲同 角 △同 歩 ▲８二飛 △５五歩
▲８五飛成 △５九成桂 ▲６八銀上 △５八成桂 ▲８八玉 △６八成桂
▲同 銀 △６三馬 ▲８二龍 △２九飛 ▲４九歩 △６九銀
▲７九金 △５八銀成 ▲６六桂 △４九飛成 ▲５四金 △６八成銀
▲同 金 △７九銀 ▲７七玉 △６八銀不成▲同 玉 △５九角
▲７八玉 △７七香 ▲同 桂 △６八角成 ▲同 玉 △６九金
▲７八玉 △７九金 ▲６八玉 △６九龍
まで106手で後手の勝ち
