68年発表の記念すべき1stアルバム。「青春の光と影」が収録された2ndや、初期の代表作として名高い『ブルー』の名声に埋もれがちな作品ですが内容の充実ではひけをとりません。ほぼ全編が彼女のギターによる弾き語りというシンプルこのうえない
サウンドだからこそ、変則チューニングによる独特のギターの響きと凛とした表情で伸びてゆくヴォーカルの絡みの美しさが際立っています。歌詞は彼女自身の経験を基にしたものが多いものの、サイケな時代を反映したジャケットとユニークなギター・
サウンドがこのアルバムを単なる
私小説的なフォークではなく、アシッド・フォークの傑作とすることに貢献しました。そしてデヴェンドラ・バンハートや
エスパーズ等、フリー・フォーク勢の原点としても輝きを放っています。最近は日本でも
Predawnのように、求心力をもつ歌とギターを聴かせる弾き語りのミュージシャンが増えてきましたが、それらの隣に並べても違和感を感じさせません。古典でありながら現在進行形の魅力をもつ名盤だと思います。