ローリング・ストーンズ『メインストリートのならず者』

メイン・ストリートのならず者<デラックス・エディション>

メイン・ストリートのならず者<デラックス・エディション>

待望のリマスター盤登場です。ルーズなようでいて意外と考えられたアレンジが施された曲もあれば、その逆もしかりといったゴッタ煮感が魅力のアルバム。雑多なつくりで、あちこちで録音されたにもかかわらず全体に瘴気にも似た独特の空気感が漂っていて、それはリマスターで音がクリアになっても変りありませんでした。今聴くと、LPではB面にあたるアコースティックでカントリー色が濃い曲が続くところがコクがあってたまりませんねえ。それぞれが勝手に歌っているようで、全体としては不思議なまとまりとパワーを感じさせるコーラス・ワークも本盤の大きな魅力です。
『レット・イット・ブリード』から本作に至る時期のストーンズは、アメリカ南部音楽の追求というマニアックなアプローチをキャッチーなジャケットに包んでヒット商品として流通させるという力技を実現していたのがすごいところで、あのベロマークのアイコンと併せて、20世紀の代表的なポップ・アート作品としても名を刻まれるべき作品だと思います。