第23回セレクト合戦「さよなら00's〜ワタシの00年代“次の世紀には今よりも静かな音楽が流行って欲しいと20世紀にK氏は歌った”」

やけに長いサブタイトルをつけてしまいましたが、今回のセレクト合戦は00年代にリリースされたもの(再発を含む)からセレクトした12曲がテーマです。再発を含むとありますが、私は全て新譜から選びました。さらに「00年代以前からファンだった人は選ばない」と縛りもかけたのですが、結果、地味地味なセレクトとなってしまいました(^^;)。振り返ってみると00年代に主として聴いていたのは、前半がエレクトロニカ、後半がブリティッシュ・フォークだったわけで、新譜だけでその感触を伝えようとするのは結構たいへんでしたね〜。
前置きはこれくらいにして、曲紹介です。なお、曲名の後の()内の数字は年号です。

1)Alejandro Franov /「Dejavu」(09)

いきなりシタールで何事かと思われた方もいるかもしれませんが、まずはアルゼンチン音響派、音の妖精ことアレハンドロ・フラノフの新作からスタートです。すごい音楽、というわけではないのですが、どこか愛らしくて親しみやすいんですよね。

Digitaria / デジタリア

Digitaria / デジタリア

2)Juana Molina /「Salvese Quien Pueda」(04)

そのアレハンドロ・フラノフも参加している、アルゼンチン音響派の歌姫の3rdから。エレクトロニカを代表して選んでみました。最新作も良かったけど、一番よく聴いたのがこのアルバムです。

Tres Cosas

Tres Cosas

3)Espers /「Black Is The Color」(05)

フリー・フォークという言葉がどのくらい浸透しているか定かではありませんが、デヴェンドラ・バンハートと並んで注目を集めたのがエスパーズ。フィラデルフィア出身のバンドとは思えないブリティッシュ・フォーク色の濃いサウンドに驚かされました。2005年に発表されたミニ・アルバムから選曲したこの曲もトラッドのカヴァーですからね。ずっと鳴り響くベルの音にエレクトロニカ的感触があります。この曲は穏やかですが、アルバムではエキセントリックな一面もときおり覗かせるのが、“今”のバンドだなと思わせます。

Weed Tree

Weed Tree

4)Scott Matthew /「In The End」(08)

前回の「ひよこ隊長セレクト」でも登場したスコット・マシュー。ここでは本人のオリジナルを聴いてもらいたくて選びました。哀愁あふれる佳品ですね。

Scott Matthew

Scott Matthew

 

5)Vashti Bunyan /「Wayward」(05)

ブリティッシュ・フォークの伝説的存在だったヴァシュティ・バニヤンの復活と来日公演は(私にとって)00年代の大事件でした。この復活作も儚い美しさが胸をうつ味わい深い傑作だと思います。今年の再来日も行きたいなあ。

ルックアフタリング

ルックアフタリング

6)Emiliana Torrini /「Next Time Around」(05)

これもまたブリティッシュ・フォーク関連。サンディ・デニーのカヴァーです。

フィッシャーマンズ・ウーマン

フィッシャーマンズ・ウーマン

7)Brandon Ross /「May As Well Know」(06)

カサンドラ・ウィルソンの作品への参加で注目を集めたギタリスト、ブランドン・ロス。クラシック・ギタリストの鈴木大介と組んで武満徹作品のカヴァー・アルバムを出したことも忘れがたい。今回は優れたヴォーカリストでもある彼の声を堪能してください。

パペット (紙ジャケット仕様)

パペット (紙ジャケット仕様)

8)Ida /「So Long」(01)

バンド自体の活動歴は90年代からだけど、私が彼らを知ったのは21世紀になってから。静かで、ひそやかで、でも内には熱い音楽への愛情が燃えている素晴らしいバンドだと思います。決して派手な音楽ではないのに初来日の際にアーティスト・ブック「勇猛果敢なアイダのものがたり」まで出版されたことには驚きました。私と同じように彼らの音楽に共感を抱いている人が少なからずいるということですよね。いつまでも大切に聴いていたいバンドです。

Braille Night

Braille Night

 

9)Antony & The Johnsons / 「Bird Gerhl」(05)

男女の性を超えた美しさを持つ声という点ではルーファス・ウェインライトと双璧をなすアントニー&ザ・ジョンソンズ。デヴィッド・シルヴィアンをもっと艶かしくしたような音楽に聴こえます。いつか生で聴いてみたい人。

I'm a Bird Now

I'm a Bird Now

10)Rachel Unthank & The Winterset / Sea Song(07)

ロバート・ワイアットの名曲のカヴァー。ロバート・ワイアット自身は今回の私のセレクト基準から外れるので選ばなかったのですが、その存在感はいまだに健在だと思います。レイチェル・アンサンクは現代英国フォーク・シーンを代表するアーティスト。

Bairns

Bairns

11)The Delgados /「The Light Before We Land」(02)

メランコリックなメロディーに、荘厳なオーケストレーションと暴力的なノイズが混淆するドラマティックな曲。収録アルバムはひっそりと、でも熱烈に愛聴してました(^^;)。後にアニメの主題歌にも使われたとしったときは驚きましたね。

ヘイト

ヘイト

12)湯川潮音/「レクイエム」(04)

邦楽から誰を選ぶか、というのは苦労しました。Perfumeじゃ浮きまくりますし(^^;)、Blue marbleのデモ音源から選ぼうかとも思ったのですが、現在レコーディング進行中の作品が完成すれば、2010年代のベストの1枚になるだろうからここではパス。残ったのがLamp湯川潮音でしたが、最近ライヴにも行ったことだし、シオーネ嬢を選択した次第です。メジャー・デビュー直前の頃のアシッド色が強い曲。彼女が以前属していた東京少年少女合唱隊の友人と共に一発録りした美しいアカペラ・ナンバーです。

逆上がりの国

逆上がりの国