スービン・メータ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団『マーラー:交響曲第2番ハ短調《復活》』
- アーティスト: メータ(ズービン),コトルバス(イレアナ),ルートヴィヒ(クリスタ),ウィーン国立歌劇場合唱団,マーラー,バラッチュ(ノルベルト),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2008/05/28
- メディア: CD
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
今になってみると、この曲にはマーラーの良いところと悪いところがどちらもたっぷり含まれていると思います。オーケストラが咆哮するところは安い劇伴みたいに響くし、終楽章は拡げまくった風呂敷をなんとかたたもうと四苦八苦している様子が見て取れるよう。その一方で、マーラーならではの甘美な旋律もそこかしこに聴かれるし、同時期に作曲していた歌曲集「子供の不思議な角笛」第6曲「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」を転用した第3楽章は、後にルチアーノ・ベリオが「シンフォニア」に引用したこともあり(確か中沢新一が著作「虹の理論」の中でこの辺りのことを取り上げていた記憶があるます。今度確かめてみようっと)、作品と引用という問題について考えさせられたりもします。しかし何より素晴らしいのは、その第3楽章から第4楽章の、これも「子供の不思議な角笛」から転用された「原光」につながるところで、前の楽章から切れ目無くアルトの独唱が入ってくる瞬間は背筋がゾクッとさせられる美しさがあります。この瞬間のためだけでもこの曲を聴く価値があると言い切りたいくらいです。