ローラ・ギブソン&イーサン・ローズ『ブリッジ・キャロルズ』

ブリッジ・キャロルズ(紙ジャケット仕様)

ブリッジ・キャロルズ(紙ジャケット仕様)

イーサンの音楽には言葉がなく、ローラは自分が言葉に縛られているように感じることがよくあった。

イーサン・ローズが生み出すサウンドスケイプとローラ・ギブソンの歌のコラボレーション・アルバム。。“クラスター&イーノmeetsアメリカン・フォーク”と呼びたくなる一枚。ローラの歌声に触発されたイーサンが様々なサウンドスケイプを組み立てていくことから始まったプロジェクトですが、その過程で、ローラが即興で歌詞を紡ぎだしたり、ヴォーカリゼーションを試みたりするようになったそうです。録音はスタジオに留まらず、地下室や森、草原といった場所でも行われ、そうして集められた素材をイーサンが再構成して出来上がったのがこのアルバムとなりました。その結果できあがったのは、緻密な編集を経ながらも自然に流れていく音楽。どこか遠くから聴こえてくるかのようなローラの歌声は、微かな哀しみを秘めながらもイーサンの織り成す音の雲の間を漂っていきます。ほの暗いエレクトロニカサウンドから浮かんでくるのは初めて見るのに奇妙な懐かしさを感じる草原や森の風景。現と夢が渾然一体と溶け合い、ほとんど幽玄の境地に接近していますね。まどろみの32分間。