バート・ヤンシュ『L.A.Turnaround』

L.A.TURNAROUND

L.A.TURNAROUND

今月はなんといってもビートルズのリマスターとムーンライダーズの新譜が出る月なので、買い物は自重していたのですが、これが再発されていたことを知って大慌てで購入しました(笑)。以前id:colourlessさんに音源を聞かせていただいたのですが、なかなかCD化にならなくてずっと待っていたんですよ。
1974年にリリースされた、ペンタングル解散後初のソロ・アルバム。タイトル通りLAで録音された作品で、ほとんどのプロデュースを元モンキーズのマイク・ネスミス(10曲)、2曲をダニー・トンプソンが手がけています。クラウス・ブアマン、ジェシエド・デイヴィス、レッド・ローズなどがゲストで参加。スワンプ・ロックに接近・・・と紹介されることも多いアルバムですが、そう聴こえるのはドラムが加わり、ジェシエド・デイヴィスのギターが印象的な“Open up the watergate”など数曲で、大半の曲はやはりどうしようもなくブリティッシュの響きがします。バートのオリジナル曲が中心なのですが、これが味わい深い名曲揃い。バートのヴォーカルとギターの素晴らしさはいわずもがなですが、ゲスト陣ではペダル・スティールを演奏するレッド・ローズの絶妙のバッキングが聴きどころ。トラッド臭は薄い(ヴァイオリンが入る“Cluck old man”くらい)ので、初心者が最初に聴くバートのアルバムとしても最適かもしれません。シンガーソングライターとしてのバートの魅力を堪能できる名盤です。