ゲイリー・バートンのデュオ作といえば、まずは『クリスタル・サイレンス』をはじめとする
チック・コリアとの一連の共演作が思い浮かびますが、本作はギタリスト、
ラルフ・タウナーとのデュオ。演奏面では対等ですが、収録曲の大半がタウナー作曲ということもあり、感触としては
オレゴンやタウナーのソロに近いものがあります。スロー・ナンバーでバートンの
ヴィブラフォンとタウナーのギターの響きが融けあう場面が素晴らしくて、ECM特有の
サウンドとあいまった硬質な叙情を醸し出しています。“クリスタル・サイレンス”という言葉はむしろ本作の方にふさわしいのでは、と思うこともしばしば。