ジュディ・シル『ジュディ・シル』

Judee Sill

Judee Sill

どうも今年は楽しいときでそうでないときの落差が激しすぎて、心身のバランスがとりにくくて困っています。そのため普段聴くのは心を落ち着かせてくれる音楽ばかりになってしまっているのですが、そういうのはレヴューしにくいんですよね。今年のヘビロテである、フォーレブロッサム・ディアリーモンポウの自作自演集・・・どれも落ち着かせてくれるだけでなく、大げさないい方が許されるならば“救ってくれる”音楽です。そしてジュディ・シルもやはり私にとって“救ってくれる”音楽に他なりません。彼女が生前に残したアルバムはどちらも宝石のような輝きを放つ作品ですが、最近はやや肩の力が抜けたサウンドである1stの方に耳傾けることが多いですね。しかしこれほど崇高な響きを持ちながら、そっと優しく寄り添ってくれる穏やかさも兼ね備えたフォーク・アルバムは彼女を知るまで聴いたことがありませんでした。

彼が抱く月の幻は輝いている
彼は自分の耐えられないことを変えてしまうけど
暗闇を通り抜けた彼の痛みは清らかだ
―「The Archetypal Man」より