フリップ&イーノの初期の名作2枚がリマスター盤で登場しました。どちらも甲乙つけがたい傑作なのですが、聴きやすさという点からすると2作目のこちらに軍配があがるでしょうか。個人的にはこのアルバムで
ロバート・フリップのギターの美しさを知ったこともあり、思い入れのある1枚でもあります。その後のイーノの歩みを知る者ならば、ここで聴かれる音に
アンビエントの萌芽を見て取ることはたやすいでしょう。しかし、LPではB面の全てを占めていた「アン・インデックス・オブ・メタル」に顕著に現れているように、実はかなりの禍々しさを内に潜めた音楽であると思います。一見牧歌的に聴こえる前半の4曲も、よく耳を澄ますとそこかしこに不気味な要素がしのばせてあり、一筋縄ではいきません。だからこそ時代を越えて聴きつがれるアルバムとなっているのでしょう。その後のアルバムも個人的には好きなのですが、やや型にはまっている感は避けられないのです。
実験音楽とロック、
アンビエントとミニマルの狭間で奇跡的に成立した初期の2枚こそ、汲めども尽きぬ可能性を秘めた音楽といえるでしょう。