『扉の冬』も『フラッパー』もいらない。私にとっての
吉田美奈子は『
モノクローム』『モンスター・イン・タウン』『ライトゥン・アップ』の3枚につきます。このアルバムはタイトル通り派手さは感じませんが、コクのある楽曲が多く収録されていて、秋の夜長に耳傾けるにぴったり。腰の低いリズム隊を中心とした無駄の無い切り詰められた
サウンドによる緊張感が終始一貫して流れていて、濃密な時間を過ごすことができます。マイク・マイニエリの
ヴィブラフォンが実にいい味を出しているし、
松木恒秀の必要最低限の音で最大の効果をあげているギターがなんといっても素晴らしい。もちろん主役の
吉田美奈子のヴォーカルも魅力的。正直、近年の彼女の歌には妙な重苦しさを感じてしまい、周囲の絶賛の声に乗り切れないのですが、この頃の彼女の声は力強さと瑞々しさが絶妙のバランスで共存していて素直に引き込まれるのです。