カルトーラ『愛するマンゲイラ』

愛するマンゲイラ

愛するマンゲイラ

まだブラジル音楽を聴き始めて日が浅かったとき、サンバというのはカーニバルのための賑やかな音楽で、リスニング・ルームで一人じっくりと聴くようなものではないと思い込んでいたのですが、このアルバムを聴いて認識を改めました。
1920年代から活動していたにもかかわらず、ソロ・アルバムの発表が遅れに遅れたカルトーラ。1stアルバムがようやく発表されたのはなんと1974年のとき。今回取り上げた『愛するマンゲイラ』は3rdアルバムで、発表は77年。実にこのときカルトーラは69歳でした。
なんともダンディなジャケット、年齢の重みを感じさせながらも、瑞々しさを残しているカルトーラのヴォーカル、ふくよかなグルーヴ感あふれるバックの演奏に支えられた優美なメロディーをもつ楽曲と、どこをとっても申し分の無い出来栄え。ブラジル音楽の魅力がここに集約されているといってもいいくらいの素晴らしい一枚です。