トッド・ラングレンズ・ユートピア『アナザー・ライヴ』

トッド・ラングレン率いるユートピアの2作目にしてライヴ・アルバム。前半はプログレっぽい新曲で勝負。ヴォーカルが入るとまぎれもなくトッド・ラングレンの世界なのですが、変拍子も多い演奏部にはどことなくフランク・ザッパっぽいものを感じます。そして後半はトッド自身のソロ・ナンバーを取り上げたり、「ウエストサイド物語」からの曲やムーヴ「ドゥ・ヤ」をカヴァーしたりともうやりたい放題(笑)。良くいえばヴァラエティ豊か、悪くいえば支離滅裂なのですが、ひらめいたことを次々と形にしないとおさまらなかった当時のトッドの勢いが如実に伝わってくるアルバムで、私はユートピアのアルバムではこれが一番好き。『魔法使いは真実のスター』や『未来から来たトッド』に通じるカオティックな面とプログレ的な構築美が奇妙な形で共存しているところが魅力の一枚です。