スティーヴ・ウィンウッド『ナイン・ライヴズ』

かつての天才少年も今年で還暦。しかしその歌声と才能は未だ色あせず。年相応の渋さと瑞々しさが絶妙のバランスで共存しているアルバムです。一見ブルージーだったり、AORぽかったりする曲にもラテンやアフリカのリズムがさりげなく溶かしこまれていて、単調なものはありません。「ダーティ・シティ」でのエリック・クラプトンのギターもいい感じに鳴っています。『アーク・オブ・ア・ダイバー』のようなキャッチーさや『バック・イン・ザ・ハイ・ライフ』のような華やかさはありませんが、長くつきあえる味わいがあります。懐の深い音楽とはこういうものをいうのでしょうね。