鈴木大介『キネマ楽園』

キネマ楽園

キネマ楽園

今年最後に取り上げるアルバムは私の最近の就寝音楽。武満徹から「今までに聴いたことがないギタリスト」と評されたことのある、鈴木大介による映画音楽作品集です。最近では鬼怒無月とのデュオ・アルバムも充実した出来でしたが、このアルバムも充実した作品にしあがっています。
彼はこれまでにもブランドン・ロス渡辺香津美らと武満の映画音楽を取り上げたアルバムを制作したこともあり、映画音楽とのかかわりは元々深いギタリストでしたが、ソロとして映画音楽で一枚録音したのは恐らく今回が初めてだと思います。選曲は特に奇をてらったところはなく、「ニュー・シネマ・パラダイス」や「ひまわり」、「男と女」、「スマイル」など鈴木が親しんでいるであろう名画の主題曲を中心としたもの。落ち着いた音色と柔らかい響きでフレーズを丹念に紡いでいく鈴木の演奏は、静かな夜にじっくりと耳を傾けるのにふさわしいものとなっています。聴く者の心の中に独自の映像を映し出す幻燈機のようなアルバム。


それでは皆様、よいお年を・・・・。