ザ・バーズ『ロデオの恋人』

ロデオの恋人

ロデオの恋人

電子音にたっぷりひたった後だとこのカントリー・ロック・サウンドがやけに新鮮に響きます(笑)。「カントリー・ロック」というジャンルを一気にメジャーにした名作で、その張本人は新加入のグラム・パーソンズ。彼のカントリー・テイストを丸ごと飲み込んだロジャー・マッギンもデカイ男だなあと思わずにはいられませんが、バーズの持ち味であるコーラス・ワークとカントリー・サウンドは想像以上に相性が良くてなんとも心地よい一枚となりました。冒頭でしっかりディラン「ゴーイング・ノーホエア」をカヴァーして昔からのファンへのアピールも怠ってはいませんが、なんといっても聴きどころはグラム・パーソンズの手による「ヒッコリー・ウインド」と「100年後の世界」でしょう。特に前者の野を吹き渡る風のような爽やかさは筆舌に尽くしがたいものがあります。
あいにくグラム・パーソンズはこれ一枚で脱退。そして5年後には夭折してしまうのですが、その短い間にカントリー・ロックを更に押し進めたフライング・ブリトー・ブラザーズを結成。更にはキース・リチャーズと親交を深め、ローリング・ストーンズにカントリー・サウンドの要素を持ち込むという、ロック史に残るといっても過言ではない大きな功績を残しました。『ベガーズ・バンケット』から『スティッキー・フィンガーズ』辺りのストーンズサウンドにはカントリーがいかに大きな位置を占めていることか。個人的にその最も豊かな果実は「ワイルド・ホーセズ」だと思います。そうした動きの着火点となったのが『ロデオの恋人』。この作品は決してカントリー・ロック最初の1枚ではありませんが、バーズの歴史においても、ロックの歴史においてもターニング・ポイントとなった重要作といえるでしょう。


キース・リチャーズグラム・パーソンズの結びつきの深さを示してくれる動画がありましたので掲載しておきます。どちらもグラム・パーソンズの追悼コンサートからかな?

Hickory Wind

上にも書いた通り、私が『ロデオの恋人』で一番好きな曲。

Wild Horses

これは説明不要ですね。