オーケストラを導入した大作『グランド・ホテル』に続き
クリス・トーマスをプロデューサーに迎えて制作されたこのアルバムは、前作とは対照的にバンド・
サウンドで固めた作品となりました。この時点で既にマシュー・フィッシャーも
ロビン・トロワーも在籍していないのですが、
ゲイリー・ブルッカーのヴォーカルとピアノを前面に出し、B.Jウィルソンのタメの効いた骨太なドラミングが
サウンドをでんと支えるスタイルにはまさしくこのバンドならではの味があります。更にそこここにマシュー・フィッシャーを意識したかのようなオルガンが加わっていることで、初期の雰囲気がある程度戻っているのがうれしい。派手さには欠けるけれど
プロコル・ハルムの魅力が端的に表現されている好盤で、私が一番好きな彼らのアルバムであります。