少年少女合唱団みずうみ『海や山の神様たち―ここでも今でもない話―』

huraibou2007-07-09

海や山の神様たち .ここでも今でもない話. (紙ジャケット仕様)

海や山の神様たち .ここでも今でもない話. (紙ジャケット仕様)

こんなアルバムがあったんですねえ。元六文銭の及川恒平が中心となってつくられた子供のための企画物ですが、全ての作曲・編曲が坂本龍一、コーラス・アレンジと歌唱指導が山下達郎、演奏が伊藤銀次、齋藤ノブなどのバイバイ・セッション・バンド。更に曲によっては山下達郎大貫妙子シュガー・ベイブ名義でコーラスに加わっているのですから、今の目から見てみるととんでもなく豪華な顔ぶれによる作品です。最も発売された1975年当時はまだ無名の若手ミュージシャンに過ぎなかったわけですが、だからこそ実現しえた企画といえるでしょう。
元々はアイヌ文化に強く共感した及川の熱意が制作のきっかけ。歌詞は全て及川がアイヌの伝承に影響を受けてつくられたものです。しかし坂本がそこにつけた曲は民族風でも童謡風でもないアグレッシヴなもので、曲によってはかなり複雑なビートとなっています。バイバイ・セッション・バンドのリズム隊も大活躍で、まるで鈴木茂『バンド・ワゴン』のアウトテイクスのように聴こえる瞬間すらあります。こんな複雑な曲を子供達に教え込んだ山下達郎(子供達からは「歌のうまいお兄さん」と呼ばれていたそうです。ちなみに坂本は「ピアノのうまいお兄さん」)の手腕も並々ならぬものがあるといえるでしょう。想像以上に聴き応えのあるアルバムでした。

関連リンク

及川へのロング・インタビューです。
海や山の神様たち-ここでも今でもない話- [テクノポップ] All About