柴田ヨクサル「ハチワンダイバー」第3巻
- 作者: 柴田ヨクサル
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/06/19
- メディア: コミック
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私よりankoroさん(id:ankoro)の方が適任だと思いますが(もしお読みになっていればですが・・・)、あえて将棋の部分について書いてみましょう。主人公・菅田の四間飛車高美濃囲いVS文字山の居飛車穴熊囲いの激突です。菅田の読みを超える攻めを展開する文字山。飛車を菅田の玉に直撃する勝負手に頭が真っ白になった菅田は、読みを文字山に託す形で玉をかわし、九死に一生を得ます。両者持ち時間もわずかになって怒涛の攻め合い。そしてついに菅田の勝負手、“金の楔”の詰めろ(次に何かしないと王が詰んでしまう形)が炸裂!まだあきらめない文字山は“攻防の角”で逆に詰めろをかけてきますが、菅田が最後に放った“歩の手裏剣”こと焦点の歩が絶妙の切り替えしで決着です。要するに「明日のジョー」で矢吹がトリプルクロスカウンターで勝ったようなものですよ(笑)。この終盤戦での描写は、両者の切迫感や心理の動きが良く表現されていて迫力満点でした。
ところが主人公はこんなにスリリングな勝負を制したのに、次の相手の斬野には心理的に動揺したまま手を進めてしまい、このマンガの将棋監修者であり、作中では菅田の師匠でもある鈴木大介八段が生み出した戦法、“新石田流”の直撃をくらって木っ端微塵に敗れ去ってしまいます。あ〜あ。まあ私は連載を追っているのでその後の展開も知っていますが、それでも第4巻が楽しみです。ちなみに第3巻だけだと斬野青年はフツーの人に見えるのですが、実は・・・それもたぶん第4巻で明らかになるでしょう。