インクレディブル・ストリング・バンド『チェンジング・ホーシズ』

チェンジング・ホーシズ(紙ジャケット仕様)

チェンジング・ホーシズ(紙ジャケット仕様)

ロビン・ウィリアムソンとマイク・ヘロンが自分の恋人のローズ・シンプソンとリコリス・マッケンシーをメンバーに加えて発表されたのが本作。ところどころで聴こえる彼女達のコーラスはなんとも愛らしく魅力的。ゆったりとした親しみやすいメロディーを持った曲が多いのですが、14分強のマイク・ヘロン作「ホワイト・バード」、16分強のウィリアムソン作「クリエイション」の2曲がどんと前半と後半に据えられていて、ここを乗り越えられるかどうかがISBを愛せるかどうかの分かれ目です。ドラムが入ったかと思ったら突然アコギ・ソロになったり、民族音楽調の後にポエトリー・リーディングになったりと本当にとりとめなく曲調が変化して続いていくので、かっちりとした構成美が好みの方には耐えられないのでは・・・とつい余計な心配をしちゃいますね。ISBを聴くときは頭を空っぽにして、ゆったりとくつろぎながら耳を傾けるのがベスト。そうすると、あまりにもとりとめのない曲展開も逆に輝いて聴こえてくるから不思議です。「これでいいのだ」と某天才のパパのような境地になったとき、ISBの音楽はこのうえない快楽をもたらしてくれるのです。