サディスティック・ミカ・バンド『天晴』

天晴

天晴

大方の予想通り木村カエラをヴォーカルに迎えたアルバムを発表することとなったミカ・バンド。木村カエラはパンチのある歌唱ができる人なので、おじさん集団に若々しいエネルギーを注入してくれることを期待してます。
さて、今回取り上げたのは2代目ヴォーカル、桐島カレンが参加して発表された1枚。「Boys&Girls 」がCMに使われたこともあってそれなりにヒットした記憶がありますね。
私の感想といえば、当時も今も「悪くないよね」という言葉に集約されます。そりゃ、これだけのメンバーが集まるのだからこれぐらいは出来るだろうって思っちゃうんですね。こちらの期待を上回るサムシングがもっと欲しかったし、幸宏が前に出てきた分加藤和彦の影が薄くなったのが物足りなかった。やっぱり加藤が中心となって引っ張っていた初期3枚の方にエネルギーやスリル、トキメキを感じてしまいます。ライヴの映像も見たことあるけど、(当時の)新曲より「颱風歌」や「塀までひとっとび」といった往年の名曲の方がメンバーも楽しげに演奏していたような。
とはいえ過去のミカ・バンドになかった魅力もこのアルバムには確かにあって、小原礼による耽美的な曲には新鮮な印象を受けました。今でも「賑やかな孤独」と「愛と快楽主義者」が一番好きですね。この路線で小原礼にソロ・アルバムつくって欲しかったな。
桐島カレンのヴォーカルは、お世辞にもうまくはないけれど、ヨーロピアンな雰囲気のウイスパー・ヴォイスはこの時期の余裕あるサウンドにはそれなりにふさわしかったのでは。でも彼女の最高傑作は近田春夫が手がけた『ディスコ桐島』だと思うんですけどねー。