エンド・オブ・ザ・ワールド『優しい繋がり』

end of the world

優しい繋がり

優しい繋がり

鴨宮諒とYOKOによるユニットが95年に残したミニ・アルバム。初期のピチカート・ファイヴに参加していた・・・というよりも「ナースのお仕事」の音楽を手がけた人、という方がひょっとしたら今では通りが良いかもしれない鴨宮ですが、チャーミングなメロディを紡ぎだすソングライターとしての魅力がこの作品には溢れています。このアルバム以前には梶原もと子MANNAというユニットを組んでいて2枚のアルバムを残しており、そちらも佳作ですが、私はエンド・オブ・ザ・ワールドを聴きかえすことの方が多いです。それは薬師丸ひろ子を思わせる透き通った声とまっすぐな歌い方を披露しているYOKOのヴォーカルのせいに他ありません。これ以上甘くなったら安っぽくなるし、逆にこれ以上うまくなったら「お芸術」っぽくなるのですが、YOKOのヴォーカルは絶妙の中間点に位置していて実に私好みなんです。
曲も粒揃いで、鴨宮曲はもちろん、高浪敬太郎が提供した「The Rainlover」も愛らしい小品。ピチカート・ファイブ『カップルズ』に収録されていた「七時のニュース」を取り上げているのもうれしいところです。ベスト・トラックは透明な哀しみに満ちたワルツ・ナンバー「イリュージョン」。この曲を聴く度にこの1枚でユニットが終了してしまったのが残念でなりません。せめてフルアルバムを1枚残して欲しかった。