Eye Don't Nose『大人の悩みに子供の涙』

大人の悩みに子供の涙

大人の悩みに子供の涙

結成10周年をむかえたコミック・バンドのポカスカジャンが結成30周年のムーンライダーズ白井良明と組んだバンドがEye Don't Nose。お笑いはとりあえず封印して、衒いのないバンド・サウンドでロックしてます。バンド名は一見ギャグに見えるけど、アルバム冒頭にある同名の曲を聴けばそうでないことがわかります。
笑いを封印してロックしている、といっても決してロック・ミュージシャンを気取ったり、変に生真面目過ぎたりはしていません。やりたい音楽をしっかりとやっていることが伝わってくるのがこのバンドの良いところ。タイトル曲に顕著なように、自分の強さも弱さも踏まえた上で見せてくれる男気がたまりません。プロデューサーも務めている白井良明が決して上からの目線でポカスカジャンをコントロールしているのではなくて、バンドの一員として対等に彼らと接しているように感じられるのも魅力のひとつです。
メンバー4人の、洗練されてはいないけど味わいをもったヴォーカル、それぞれの声が個性を主張しながらも一体感があるコーラスにやや土臭くもあるサウンドが重なった彼らの音楽を聴いていて、私はザ・バンドを連想していました。良明がリード・ヴォーカルをとる「Dear Mr.Answer Man」が、タイトルや「答えは 風の中」という歌詞からディランをありありと思わせる曲になっているのも理由のひとつです。まあその見立てで行くと良明がディラン、ロビー・ロバートソン、ジョン・サイモンの3役を演じることになって大変なのですが(笑)。こういうバンドはありそうでなかなか無いので、ぜひこれからも活動を続けて欲しいですね。