オトフリート・プライスラー「大どろぼうホッツェンプロッツ」

大どろぼうホッツェンプロッツ (新・世界の子どもの本―ドイツの新しい童話 (1))

大どろぼうホッツェンプロッツ (新・世界の子どもの本―ドイツの新しい童話 (1))

いつ頃このシリーズに接したのか、すっかり記憶は霧の中ですが、私が最初に夢中になった怪盗といえば、アルセーヌ・ルパンでも怪人20面相でもなくて、この愛すべきホッツェンプロッツであることは確かです。
今にして思うと、このホッツェンプロッツが盗んだものといえばコーヒー挽きといったささやかなものですが、当時は独特のイラストのせいもあってか、かなりこわい・・・というかワルイ奴に見えていました。その大どろぼうに立ち向かう二人の少年。物語はその冒険と対決にさらに魔法の要素も加わっているのですから夢中にならずにはいられませんでした。続編、完結編も一気に読了して、その後も繰り返し読み返したものです。


さすがに今では克明な記憶は残っていませんが、あのつば広の帽子をかぶった、ひげもじゃのホッツェンプロッツの顔、彼が愛用していた嗅ぎタバコなどの細部のアイテムは現在でも生き生きとしたイメージでよみがえってきます。それと、ソーセージとサワークラフトをあれほどおいしそうに書いた文章に私はその後めぐりあっていません。