フェアポート・コンヴェンション〜マシューズ・サザン・コンフォートを経て発表されたソロ・アルバム。例えば
ジェームズ・テイラーの隣に置いたとしても違和感を感じない、穏やかな曲調と繊細なヴォーカルが魅力的な1枚です。元々
アメリカのフォーク・ロック、カントリー・ロックへの憧憬を反映した曲づくりをする人ですが、既に多くの方が指摘しているように出来上がった音楽にはとりあえず「英国的」と表現するしかない特有の陰りがあり、そこが独特の味わいをもたらしています。このアルバムについていえば、そもそも参加メンバーがフォザ・リンゲイのジェリー・
コンウェイや後にイアンと「プレインソング」を結成するアンディ・ロバーツ、フェアポートつながりで
リチャード・トンプソン、サンディ・
デニー、さらにはキース・ティペットとあってはイギリス的にならない方がおかしいというもの。彼等の的確なサポートがややもすれば単調に陥りがちなイアンの曲にメリハリをもたらし、内省的な面とポップさがいいところで折り合った作品だと思います。