Qlair「Archives」(asin:B000BNM8EW)

Qlair

これは素晴らしいリイシュー。90年代邦楽最高のハーモニー・ポップ・グループ全音源と映像が再発。更に12年ぶりの新曲もあり、おまけにメンバーによる各曲のコメントまでついているという、至れり尽くせりの内容です。


Qlair乙女塾出身のグループ。グループ名はギルバート・オサリバンの曲「Clair」からとられたものです。メンバーは今井佐知子吉田亜紀井ノ部裕子の3人。
活動期間は1991〜1994のわずか3年間。時期的にもアイドル人気全体が下火だったこともあり、目立ったヒット曲はありません。それでも根強いファンはずっと彼女達を支持し続けていました。それも彼女達の残した楽曲が良質だったことと、3人の織り成すコーラス・ワークが素晴らしかったからに他ありません。

今回の再発はシングル、アルバムをクロニクルに配列しています。1枚目は1st〜3rdシングルと1stアルバム「Les Filles」を収録。今聴いても甘酸っぱい気持ちになる、ファンタジックなポップ・ソングがずらりと並びます。「恋のメダリスト」で3人の声が順番に重なっていくところとかドキドキしちゃいますね(笑)。ちょっとボッサな「冒険のSunnyday」も好きな曲です。
2枚目は4th〜6thシングルと2ndアルバム「CITRON」全曲収録。ポップな面が強められ、活動的な面を見せています。鈴木祥子が提供した曲(「パジャマでドライブ」)があるのも見逃せないところ。大沢誉志幸が提供した「泣かないでエンジェル」も彼女達の別の魅力を引き出しています。コーラス・ワークもますます安定してきました。
そして3枚目はクリスマス・アルバム「Sanctuary」を中心に。そして今回最大の目玉、新曲「永遠の少年」が収録されています。片寄明人が作曲、編曲に佐橋佳幸という布陣で制作されたけれど、そのまま封印されたといういわく付きの曲。12年ぶりにマルチテープが発見されたことで、新たにヴォーカルを録音して完成したというものです。片寄明人はかねてからこの曲を「ブライアン・スペクター」と形容していたそうで、なるほどちょっぴりそんな感じがします。3人の声もさすがに往年のキラキラした感じは薄れていますが、爽やかな味わいは健在で、決してファンを失望させるものではないと思います。
DVDは彼女達が残した2本のヴィデオを収録したもので、これも結構凝った出来です。プロジェクト・チームが愛情を持って彼女達を支えていたことを実感させられますね。とにもかくにも、今回のリイシュー、コーラス&ハーモニー好きは聴いて損しないと思いますよ。