マイク・オールドフィールド「ディスカヴァリー」

Discovery

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恒例となった音楽仲間の方々とのセレクト合戦、今回のテーマは「紅白歌合戦」になりました。男性ヴォーカルと女性ヴォーカルを交互に並べていくというものですが、それを聞いて思い浮かべたのがこのマイク・オールドフィールド1984年作。マギー・ライリー(ヒット曲「ムーンライト・シャドウ」のヴォーカルも彼女)とバリー・パーマーの2人がそれぞれ交互にリード・ヴォーカルを取った曲で構成されているのです。
マイクの歌ものでは「ムーンライト・シャドウ」に次ぐ代表曲となった「トゥー・フランス」のヴォーカルがマギー・ライリーなので、どうしてもバリー・パーマーが陰になりがちですが、彼が歌う曲もなかなかのもので「セイヴ・ザ・ベル」ではスケールの大きい歌唱を聞かせてくれます。
当時のマイクが多用していたフェアライトの音色やドラム・サウンドにはどうしても時代を感じずにはいられないし、かつてアフリカン・ビートを積極的に導入したマイクにしてはどの曲も似たようなリズムだったりする(せっかくドラマーにサイモン・フィリップスを起用しているのに!)のが少々物足りなくはあるのですが、収録曲はどれもマイクならではのメロディー・ラインを持った佳曲です。特に「トゥー・フランス」のフレーズを巧みに使った「トーク・アバウト・ユア・ライフ」が美しい。ラストのインスト、「ザ・レイク」も親しみやすさとダイナミックさのバランスが上手くとれていて聴き応えがあります。
マイク・オールドフィールドの真価は初期の4枚(「チューブラー・ベルズ」から「呪文」まで)にあり、とかねがね考えている私ですがそれ以降の作品ではこのアルバムに最も愛着を感じています。