ミッチェル・フルーム「ア・サウザンド・デイズ」

冷たくもなく、過剰にセンチメンタルでもない、そんな美しくてシンプルな音楽を創りたかった。
ミッチェル・フルーム

最近の就寝音楽は専らこれでした。90年代を代表するプロデューサーのソロ第2作。全編ピアノ・ソロです。3分弱の小品が並ぶ構成ですが、まさに上で引用した本人の言葉通りの静かで美しい音楽になっています。曲間をオルガンやハーモニウムでつなげるといった技も流石ですが、特筆すべきはここで聴かれるピアノの響きの美しさ。残響感と透明感のバランスが絶妙で、曲のシンプルなメロディが自然に浮かび上がってくるのです。例えるのは難しいのですが、ECMの音をぐんとナチュラルにした感じでしょうか。クラシックのファンの方がこれを聴いてどんな感想を持たれるか、興味深いところです。シンプルで派手なところが全くない音楽ですが、今年のベスト・アルバムのひとつになりそう。