スパークス「No.1 in heaven」

Number 1 In Heaven

Number 1 In Heaven

79年作。「コーラス&ハーモニー」セレクトから涙を飲んで外した我がアイドル、スパークス。このアルバムを聴き返してちょっぴり後悔しています。イギリスでアイドル的人気を博したものの、閉鎖的な雰囲気に耐えかねて帰国。そこでは何を思ったかデヴィッド・フォスターと組んでみたものの、ものの見事に大コケ。そこで再び心機一転の必要に迫られたロン&ラッセル・メイル兄弟の選んだ道はあっと驚くジョルジオ・モロダーとのコラボレーションによるテクノ・ポップ化でありました。そうして生まれたのが本作。結果「キモノ・マイ・ハウス」と並ぶスパークスの代表作になり、同時にジョルジオ・モロダーの最高傑作となりました。とても昔ベアズヴィル・レーベルからデビューした人達とは思えないテクノ・ビートとの馴染みっぷりがすごい。曲の出来も優れていて、彼らのアルバムって結構捨て曲もあったりするのだけど、ここに収録されている6曲どれも文句なし。ロン・メイル、力入っています。ラッセル・メイルのオペラチックなハイトーン・ヴォイスと多重録音によるコーラスがキラキラしたシンセ音と溶け合って、ジョルジオ・モロダー謹製のディスコ・ビートがそこに加わり、踊れる変態快楽空間が現出します。どこを取っても「あの時代の音」で埋め尽くされているのに不思議に古くならない(かなり贔屓目入っていますが・・・)。現在に至る彼らのスタイルを決定づけた面からも重要な作品です。ただこの勢い、次作「ターミナル・ジャイヴ」までは続くのですがそこからしばらくは苦戦するんですよね。ともあれ本作はまぎれもなくテクノ・ポップの金字塔のひとつ。あがた森魚のフェイヴァリットとしても知られています。