ムーンライダーズ「アマチュア・アカデミー~20th Anniversary Edition~」

今更ながらこのアルバムを取り上げたのは、ショック太郎さん(id:bluemarble)さんの17日付の「青空百景」レビューに触発され、かつ共感したからです。このレビューでショック太郎さんが述べている「何年活動しても、商業主義に手垢がまみれていない。そんなアマチュアっぽさも魅力です」というライダーズの魅力を、このアルバム・タイトルは端的に表していますね。外部のプロデューサーを立てたせいか、比較的すっきりと整理されているように思える音像の中に見え隠れするひねったアイディアが面白い。「G.o.a.P」のヴォーカルの影に聴こえる変なスキャット(?)や、「B.B.L.B」で歌詞にあわせて声が変化するところなど、「おっ」と耳をそばだててしまいますね。
他にも、このアルバムをムーンライダーズのベストの1枚とした菊地成孔が、その理由として挙げた、ライダーズには珍しいファンキーなノリも「アマチュア・アカデミー」の大きな特徴。「BLDG」でのサンプリング→生演奏でのエンディングの鮮やかさと「塀の上で」の系譜を引き継ぐ歌詞世界や、ついに顕在化したかしぶち哲郎のエロティック路線など、語るべきところは尽きないアルバムです。


ショック太郎さんの文章で共感したところはもうひとつあって、それは「要するに彼らの魅力は、すべてレコードに詰まってるといってもいいです」というところ。全く同感で、今回ボーナス・ディスクに数曲ライヴ録音が収録されていたのですが、あまり私には面白いものではありませんでした。これは私が80年代のライヴを体験していないせいもあると思うのですが・・・。彼らがライヴ・バンドとして力を発揮しはじめたのは90年代後半になってからではないか、とこの音源や「ワースト・オブ・ムーンライダーズ」を聴くにつれ思います。


ともあれ、彼らの旧譜のリマスターが進んでいくのはうれしい限り。早く「マニア・マニエラ」と「青空百景」、「カメラ=万年筆」もリマスタリングして出て欲しいもの。そうすれば80年代のムーンライダーズが如何に充実していたか、という認識がより広がると思うのです。