カーペンターズ「クリスマス・ポートレート」

クリスマス・ポートレイト

カーペンターズが残したクリスマス・アルバムは２枚。その最初の１枚が７８年に発表されたこの「クリスマス・ポートレート」。もう１枚はカレンの没後、「クリスマス・ポートレート」に収録できなかった音源を基に製作された８４年発表の「オールド・ファッションド・クリスマス」です。「オールド・・・」も良く出来ているアルバムなのですが、カレンの歌が聴ける曲が少なくて、リチャードのソロにカレンが参加しているようになっているのはいたしかたないところ。なので最初に聴くならば、やはり「クリスマス・ポートレート」をお薦めします。
７８年というと人気の面ではピークを過ぎていたカーペンターズですが、音楽的な面では衰えなど全くなかったことがこのアルバムを聴けばわかります。リチャードもカレンもクリスマス・ソングには愛着を感じていたとインタビューで述べていた通りの力の入れようで、録音には１年以上かけてじっくり仕上げたとのことです。内容はまさに多くの人がイメ−ジするであろう“カーペンターズのクリスマス・アルバム”の期待に十全に応えた堂々たるもので、リチャードの入念なオーケストレーションによる華麗なサウンドとカレンのしっとりとしたヴォーカルはいわずもがなの素晴らしさ。これをかけていると部屋の空気がみるみるうちに澄んでいくような錯覚におそわれます。数々のクリスマス・スタンダードだけではなく、オリジナル・ナンバー「メリー・クリスマス・ダーリン」も聴きどころのひとつ。